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昔のレコードの一節をサンプリングしてみたい、古い詩をリリックに使ってみたい……。ラップを作っていると、そんな気持ちになること、ありますよね。そこで気になるのが「著作権っていつまで続くの?」ということ。文化庁の「著作物等の保護期間の延長に関するQ&A」をもとに、著作権の保護期間のしくみを、日本語ラップ好きの目線でやさしく整理しました。
この記事では、文化庁の「著作物等の保護期間の延長に関するQ&A」をもとに、著作権の保護期間のしくみについて5つのポイントで整理します。後半の、サンプリングや引用を考える前に、保護期間を確かめる手順は、この記事の提案です。
※この記事は、2026年10月時点で文化庁に掲載されている内容をもとにしています。確認日は2026年10月24日です。ここで紹介するのは原則的なしくみで、作品ごとの保護期間は、作者や公表の時期、国などによって変わります。実際に作品を使うときは、権利者や専門家に確かめてくださいね。
保護期間ってなに?
存続期間
文化庁のQ&Aでは、著作権や著作隣接権などの著作権法上の権利には一定の存続期間が定められていて、この期間を「保護期間」という、と説明されています。
なぜ期限があるの?
著作者に権利を認めて保護することは大切ですが、一定の期間がたった著作物は、権利を消滅させて社会全体の共有財産として自由に利用できるようにすべきだ、という考え方があると書かれています。
ラップとの関係
歌詞、曲、レコードの音など、ラップに関わるものには、それぞれ権利があります。どのくらいの期間守られているのかを知っておくと、作品づくりの前に考えることが整理しやすくなります。
著作権の保護期間 5つのポイント
1. 原則は死後70年
以前は原則として著作者の死後50年まででしたが、TPP11協定の発効にともなう著作権法改正で、死後70年までに延長されました。ラップの歌詞やトラックに使われる曲も、この原則が基本になります。
2. 2018年12月30日から
改正著作権法は、平成30(2018)年12月30日から施行されています。TPP11協定の発効日がこの日になったことで、同じ日から改正法が施行されることになったと説明されています。
3. 翌年の1月1日から数える
すべての期間は、死亡、公表、創作した年の「翌年の1月1日」から起算します(第57条)。亡くなった日がいつでも、年の途中から数えることはないので、計算がシンプルになります。
4. 切れたものは復活しない
施行日の前日に著作権がすでに消えていた著作物は、さかのぼって延長されません。昔の作品ほど、改正の前に保護が切れていたかどうかがポイントになります。
5. 実演・レコードも70年
実演家とレコード製作者の権利の保護期間も、50年から70年に延長されました。曲を作った人の権利だけでなく、歌った人や録音した人の権利もあることを覚えておきたいですね。
5つのポイント早見表
| ポイント | 文化庁の案内 |
|---|---|
| 原則は死後70年 | 死後70年 |
| 2018年12月30日から | 施行日 |
| 翌年の1月1日から数える | 計算 |
| 切れたものは復活しない | 復活なし |
| 実演・レコードも70年 | 隣接権 |
50年から70年へ
改正の理由
文化庁のQ&Aでは、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)と、TPP11協定の締結にともなって、保護期間が延長されたと説明されています。
20年長く
原則として、昭和43年(1968年)以降に亡くなった方の著作物の保護期間が延長され、20年長く保護されることになったと書かれています。
1968年の例
昭和43年に亡くなった方の著作物の保護期間(原則)は、平成30(2018)年12月31日まででしたが、平成30年12月30日付けで死後50年から70年に延長された、と説明されています。
ぎりぎりのタイミング
施行日が12月30日だったので、12月31日に保護期間が終わるはずだった著作物も、延長の対象になったんですね。
保護期間の数え方
翌年の1月1日から
計算をかんたんにするため、すべての期間は、死亡、公表、創作した年の「翌年の1月1日」から数えます(第57条)。
手塚治虫さんの例
Q&Aでは、平成元(1989)年に亡くなった手塚治虫さんの著作物は、平成2(1990)年1月1日から数えて70年後の、2059年12月31日まで保護される、という例があげられています。
藤田嗣治さんの例
昭和43(1968)年に亡くなった藤田嗣治さんの著作物は、改正前は2018年12月31日までとされていましたが、改正で2038年12月31日まで保護されることになった、と説明されています。
公表から数えるもの
文化庁のQ&Aでは、作者がわからない作品(無名・変名)や団体名義の作品、映画の著作物などは、亡くなった時ではなく公表した時から数える、という考え方も紹介されています。ここでも、公表した年の翌年の1月1日から数えるのが基本です。
数え方のコツ
亡くなった年に70を足して、その年の12月31日まで、と考えると覚えやすいですよ(原則の場合です)。
すでに切れた著作物は復活しない
復活させない原則
著作権法には、一度保護が切れた著作物を、あとになって保護を復活させることはしない、という原則があると書かれています。
延長されたのは
改正法の施行日の前日(平成30年12月29日)に著作権が消えていなかった著作物だけが、延長の対象です(TPP整備法附則第7条)。
さかのぼらない
すでに保護期間が切れていたものについては、さかのぼって延長されるわけではない、と説明されています。
実演とレコードの権利も70年に
著作隣接権
歌う人や演奏する人(実演家)、レコードを作った人(レコード製作者)の権利も、保護期間が50年から70年に延長された、と文化庁のQ&Aで説明されています。
旧法の時代のもの
旧著作権法では、演奏・歌唱とレコードは著作権で保護されていて、保護期間は著作者の死後30年(団体名義は発行後30年)だったと書かれています。旧法の期間のほうが長い場合などには、旧法の規定で計算されることもあります。
サンプリングを考えるとき
曲そのものの権利と、録音された音(レコード)の権利は別のものです。古いレコードを使いたいときは、それぞれの権利を分けて考えるのが大切です。
外国の作品と戦時加算
外国人の著作物
条約上保護する義務がある外国人の著作物も、日本では原則として70年に延長されると説明されています。
相互主義
ただし、日本より保護期間が短い国の著作物は、その国の保護期間だけ保護される(第58条)とされています。たとえば、ある国が死後50年なら、日本でもその国の著作物は50年保護すれば足りる、という例があげられています。
戦時加算
サンフランシスコ平和条約にもとづき、連合国や連合国の国民が戦前・戦中に取得した著作権には、通常の保護期間に一定の日数を加算する「戦時加算」があります。Q&Aでは、米国やオーストラリアについては3794日という例があげられています。
洋楽の古い曲
海外の古い曲を使いたいときは、日本の作品よりも計算が複雑になることがあるので、注意してみてくださいね。
保護期間の早見表
文化庁のQ&Aにある例をもとに、原則的な保護期間を表にしました。
表の見方
これは原則の場合の目安です。作者がわからない作品や団体名義の作品、外国の作品、戦時加算があるものなどは、計算が変わることがあります。気になる作品は、ひとつずつ確かめてくださいね。
| 著作者が亡くなった年 | 原則の保護期間の終わり |
|---|---|
| 1967年以前 | 改正の前に保護期間が切れていて、延長されない |
| 1968年(藤田嗣治さんの例) | 2038年12月31日 |
| 1989年(手塚治虫さんの例) | 2059年12月31日 |
保護期間中の作品を使いたいとき
原則は許諾
他人の著作物を利用する場合は、原則として権利者の了解を得る必要がある、とQ&Aに書かれています。
例外の規定
「権利制限規定」による例外の場合は、著作権者の了解を得る必要はない、と説明されています。引用もそのひとつです。
権利者が分からないとき
権利者と連絡がとれない場合は、文化庁長官の裁定を受けて、通常の使用料にあたる補償金を供託することで、適法に利用できる制度があると案内されています。
サンプリングや引用を考える前に、保護期間を確かめる手順
ここからは、文化庁の案内をもとにした、この記事の提案です。
ここで挙げるのは、文化庁のQ&Aをもとにした、この記事からの確かめ方の提案です。
作者を調べる
使いたい歌詞や曲の作者がだれで、いつ亡くなったのかを調べます。
70年を足してみる
原則として、亡くなった年に70を足し、その年の12月31日まで保護されているかを考えます。
2018年の前に切れていたか
改正の前にすでに保護期間が切れていたものかどうかも、あわせて確かめます。
録音は別に考える
古いレコードの音を使うときは、曲の権利とは別に、実演やレコードの権利もあることを思い出してください。
記録しておく
調べた作者名や亡くなった年、確認した日をメモに残しておくと、あとで見返すときに役立ちます。
迷ったら相談
自分で判断できないときは、権利者や専門家に相談するのがいちばん安心です。作品を大切に思う気持ちは、ほかの人の作品を大切にすることにもつながりますね。
よくある質問
著作権の保護期間は?
原則として、著作者の死後70年です。
いつから70年に?
平成30(2018)年12月30日に施行された改正著作権法からです。
期間の数え方は?
死亡、公表、創作した年の翌年の1月1日から数えます。
切れた著作物は延長された?
いいえ。施行日の前日に著作権が消えていなかったものだけが延長されました。
レコードの権利は?
実演家とレコード製作者の権利も、50年から70年に延長されました。
外国の作品も70年?
原則は70年ですが、相互主義や戦時加算があります。
権利者に連絡がつかないときは?
文化庁長官の裁定を受けて補償金を供託する制度があります。
著作権の保護期間は、原則「死後70年」
文化庁のQ&Aによると、著作権の保護期間は、2018年12月30日から原則として著作者の死後70年に延長され、期間は翌年の1月1日から数えます。すでに切れていたものは復活せず、実演やレコードの権利も70年になりました。ほかの人の作品を使いたくなったら、まず保護期間を確かめて、ていねいに作品づくりを進めてくださいね。